10月1日からの同一労働同一賃金ガイドライン等の改正施行にあわせた賃金規程等の点検・見直しのおすすめ①(2026.7.21)

〇今回の改正は、2018(平成30)年に成立した働き方改革関連法の柱の一つに当たる我が国における同一労働同一賃金の推進を目的とした「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下「パート・有期雇用労働法」)に関連して制定された「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(いわゆる「同一労働同一賃金ガイドライン」。以下「ガイドライン」といいます。)にかかる改正になります(※「パート・有期雇用労働法」法律本体の改正はありません)

 

〇「ガイドライン」についてはEU諸国では一般的となっている「同一労働同一賃金」の我が国への導入という課題の困難性から現場における準備期間等を考慮して、大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月からの施行となったものですが、今般、施行後5年を経過したことから見直しを行うことに至ったものです

 

(ガイドライン改正の趣旨)

〇今般のガイドラインの改正では、新たなルールの導入等が追加されたということではなく、「同一労働同一賃金の実現」のさらなる推進を図るため、近年の最高裁判所等の判例(「ハマキョウレックス事件」「長澤運輸事件」「メトロコマース事件」「日本郵便事件」など)でルールとして明確になったことがらを踏まえ、①均等・均衡待遇に関する考え方のさらなる明確化がなされたこと、②「賞与」に関する記載の充実や「退職手当」等の新規追加など必要事項の補足など、がおこなわれています

 

(①均等・均衡待遇に関する考え方のさらなる明確化)

〇パート・有期雇用法第8条では、格差是正の検討に当たっては、事業主側において、「雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて」、「当該待遇の性質、目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない」ことが義務付けられました

 

〇このため、法施行後、多くの事業所において雇用形態間の格差是正に向けた対応がなさられ、厚労省の「労働経済動向調査」のR6調査結果によれば、調査対象のうち9割をこえる事業所において、パート・有期雇用労働者に対する基本給や手当等に関して公平な待遇確保の実現に向けた取組を行っているとの回答が寄せられているところです

 

〇しかしながら、個々の待遇差の是正検討においては、例えば、基本給に関して正社員は長期雇用を目的としているから勤続年数に応じて賃金が上昇する「職能給」とし、パート・有期雇用労働者は特定の職務を担うため「職務給」とするといった説明が行われているところですが、事業主側に「当該待遇を行う目的」を説明できてしまえば待遇差が正当化されやすくなるといった点に課題があることが指摘されています

 

(実際、筆者自身、前職在職中の出向先で、パート・有期雇用労働法の施行に基づき、賃金制度の見直しを行いましたが、基本は個々の待遇の目的・性質を改めて整理・検討することが主眼であり、非正規雇用労働者に対する一部手当の見直しを行っただけでした)

 

〇新しいガイドラインでは、第1目的において、雇用形態間の待遇格差については、「個々の待遇ごとに、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断される」との法第8条の条文の趣旨が改めて明記され、さらに加えて、(待遇格差については主観的抽象的な説明では足りず)『客観的かつ具体的な実態に照らして対応することが求められる』旨の文言が加えられており、これが今回の改正において最も重要なポイントになります

 

〇このため、今後は(令和8年10月から)、先ほどの正職員に対する「職能給」の採用理由としてあげられた長期雇用という理由だけでは主観的抽象的に失しており十分とはいえず、例えば長期雇用による働きぶりの実態やキャリア形成のための訓練のあり方など客観的具体的な実態に基づき異なる賃金制度になっていることなど、一歩踏み込んだ説明が求められることに留意する必要があります

 

⇒②「賞与」に関する記載の充実や「退職手当」等の新規追加など必要事項の補足に関しては次回改めて記載します

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